Startup Company
2017/11/10
投資先ストーリー
06

ゼネリックソリューション
代表取締役社長 小西亮介 インタビュー

無駄を省き価値を生み出す「データ活用」の未来

AIやビッグデータ、シンギュラリティなどの言葉が踊る一方で
「真に価値のあるデータとは何か」が問われているーー。
慶應義塾大学での研究に確信と予感を得て立ち上がった
データサイエンスベンチャー、ゼネリックソリューション。
データベースに埋もれた“宝の山”を見据えながら
邁進し続けるモチベーションの軌跡をたどる。

無駄を省き価値を生み出す「データ活用」の未来 – ゼネリックソリューション

埋もれた価値を成果につなげるデータ分析の取り組み

我々ゼネリックソリューションのミッションは、独自のソリューションを通してコンピューターにインテリジェンスを与えていくことです。具体的にはお客様のデータベースを解析し、価値のあるデータを提供するサービスを展開しています。設立は2006年、私が慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)在学中のことでした。当時から「データ分析」と呼んでいますが、これは今では「ビッグデータ解析」や「AI」と呼ばれるもののベースとなる技術で、わかりやすくいえば膨大なデータの集合体から人間にとって意味のある情報を取り出すことを指します。

大学時代は、環境情報学部の清木康教授の下で情報検索やデータマイニング(人力では見つけにくい相関関係や価値をデータから掘り起こす手法)などの研究に携わり、人間の記憶や認知の機能を模倣した意味的連想検索(意味の数学モデル)をコアテクノロジーとするさまざまな応用研究に触れるなかで「この技術には将来性とチャンスがある」という確信を得て、起業を決意しました。

それから10年余り、データ分析やビッグデータ解析という言葉はすっかり一般化しましたが、データを分析して可視化するだけでは価値につながりづらく、「ただデータを分析して気付きを得るだけ」で終わるケースがよく見受けられます。その中で我々が目指しているのは、企業が予め持っているデータの中から隠れた価値を掘り起こし、より実践的なデータ表現により、新たな利益へ結び付けていく仕組み作りに貢献することです。

そこで力を発揮するのが、独自開発によるソフトウェアパッケージ「GS8(ジーエスエイト)」です。AIを謳う他社の多くがデータを集めて整理したり、導入後から学習を開始したりするところから利活用がスタートするのに対し、GS8は今あるデータからすぐに結果を出すことができ、導入成果を体感しながらその結果を機械に学習させて次の提案へつなげていけるのが特長です。

適用分野としては、大学時代の研究テーマがデータ分析による学習効果の向上だったこともあり、大手学習塾への導入に始まり、有機野菜などを中心とする食材宅配ネットスーパーとの契約をきっかけとして小売業の取り組みに着手しました。具体的には、「誰がいつ何を買ったか」という情報を分析し、それを「誰がいつ何を買いそうか」という予測につなげていく。お客様ごとのニーズの変化を時系列で捉え、ベストなタイミングでお客様個人ごとの売り上げを最大化することができるわけです。

慶應義塾大学の研究を発展させ、実践的な課題解決に貢献

さまざまな業種の取り組みに携わる中で、ようやく追い風が吹いたのはここ2、3年のこと。大手企業が一斉に「ビッグデータ」「AI」といった言葉を使い始めて、興味を持っていただく機会が格段に増えたと感じています。わかりやすい例を挙げるなら、現在「大地を守る会」でご利用いただいている、一人ずつ異なるチラシを制作する「パーソナルチラシ」。表にはデータ分析を元にそのお客様の購入履歴にはないものの、興味につながりそうな商品を掲載し、裏面では買い漏らしがないようにリマインド中心で構成する仕組みです。データ分析結果を自動的に活用することで、人手では勘や経験頼みで莫大な労力がかかる業務を大幅に省力化し、無駄を省くことができます。

一方で「フィンテック」への注目の高まりを受けて、取り引きが増えつつあるのが金融の分野です。例えば銀行の場合、個人向けでは預金口座の動きを解析して、この方には投資信託、この方には個人向けローンなど、お客様ごとに最適なレコメンドを行います。法人向けでは、同様のノウハウを事業性の貸し出しに活用し、効果的なサポートなどの実績を挙げています。

これらソフトウェア面に対してハードウェア面での特徴としては、現在主流となっているクラウド型のインフラではなく、お客様の社内にマシンの実機を設置することもポイントです。独自のハードウェア構成によりオンプレミス型(設置型)のインフラを構築するほか、独自のクラウドサービスも提供しています。このマシンもまた、我々が部品から組み立てたオリジナルのものですが、ハードウェアとソフトウェアの最適な連携によって構築された独自のインフラにより、目的に柔軟に対応できるデータ処理サービスを提供できるようになる点も、我々の大きな強みの一つと言えるでしょう。

また、「AI」によるソリューションを看板に掲げるベンチャーの多くが、ディープラーニング(深層学習)やカーネル法など一つの数理モデルを強引に適用しようとしたり、特定領域に偏った技術を一般的な課題解決に適用しようとしたりする事例が散見されます。最大の問題は、そうした技術を現実の課題にどうフィットさせていくか。私自身は、問題と解決方法を同一の情報空間上の距離として表現し、目的に合った数理モデルや情報空間を選択し、アルゴリズムを自動化する数理モデルを作り上げることを清木教授から学びました。その経験から、さまざまな数理モデルを活用しつつ、ディープラーニングやニューラルネットワーク、パターン認識などを問題に合わせて柔軟に取り込み、独自のアルゴリズム体系を組み上げる方法を確立してきました。こうした姿勢が、お客様に価値ある成果を届ける成果につながってきたのだと思います。

無駄なく最適な社会のために、実践と研究を重ねていく

こうした取り組みの意義と成功実績を評価していただき、2017年の8月からKIIのサポートを受けることになりました。マーケティング面をはじめとするアドバイスはもちろんのこと、10月からは恩師である清木教授とともに研究チームを立ち上げ、要素技術の発展を目指し、新たなステージに挑戦していきます。

個人的なモチベーションとしては、自分が発想して作り上げた新しい技術をより多くの人に使ってもらいたいという気持ちでしょうか。コンピューターの出現以来、その原理自体には大きな変化が訪れていませんが、我々としては単なるデータ処理の役割を担うコンピューターではなく、未来を創る道具としての“考えるコンピューター”を作り出すことを目指しています。

一方で必要なのは、情報を活用することに対するお客様の理解促進でしょうか。データの蓄積と機械学習によってコンピューターを賢くする技術が進歩している一方で、実際に技術を適用する活用方法についても、お客様の理解を深めていかなければならない。また、社内でデータサイエンティストを育成し、担当者の勘や経験を機械化するだけではなく、さまざまな事象の予測可能性を高め、変化に柔軟に対応できる“思考するコンピューター”を作り上げる専門的な組織が求められていると考えています。

今後は画像解析や自然言語処理などのコミュニケーションや、センサーなどのストリームデータを獲得するインターフェイスを充実させ、コンピューターの“思考する機能”を拡大していきたいと考えています。さらに、これまでに実践してきたビッグデータ解析や人工知能テクノロジーと、感性や感情を取り扱うことができる清木教授の「意味的連想検索テクノロジー」を組み合わせ、スピーディーに新たなイノベーションを生み出していきたい。

GS8の「8」の字に込めた七転び八起きの思いと、それを支えるエンジニアの仲間たちと一緒に、「天は自ら助くるものを助く」を座右の銘として、これからも努力していきたいと思っています。

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ゼネリックソリューション株式会社
2006年、慶應義塾大学総合政策学部在学中の小西亮介により、データ解析の学生ベンチャーとして起業。顧客は大手学習塾などのサービス業やネットスーパー、ドラッグストアなど小売業、最近ではIoT分野まで幅広く、データ解析機能と機械学習機能を持つソフトウェア「GS8」を開発するなど、独自のソリューションを提供。近年は金融業界を中心にフィンテック分野での実績も多数。