Startup Company
2020/8/17
投資先ストーリー
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25Holdings
共同創業者 藤田英輝 インタビュー

使命感で導くペットと人間の新たな関係

環境や人権などの問題が人々に自覚を促す中、
ペットと人々の関係も、変化の時を迎えている。
人が食べても安全な無添加のペットフードから、
機能とインテリア性を兼ね備えたグッズまで。
シンガポール発、ペット関連EC企業の25Holdings。
ペットとの共生社会に向けた、決意と想いが語られる。

使命感で導くペットと人間の新たな関係

“ペットの家族化”を背景に、独自の製品&サービスを展開

弊社はシンガポールと日本、マレーシア、ベトナム、バングラデシュ、インドを拠点に、ペットケア製品のeコマースサイト「perromart(ペロマート)」の運営や、自社オリジナルブランド製品の展開を行っています。2015年、シンガポール人のロイ・リム(Roy Lim)とともに同国で創業。19年に日本支社を立ち上げ、日本国内でのシェア確立に力を注いでいるところです。

ペットケア事業を立ち上げた理由ですが、個人的な想いとしては、昨年秋に18歳で亡くなった愛犬のミニチュアダックスフンドの存在が大きいですね。ロイも犬を3匹飼っており、大好きな犬や猫たちのためにできることがないかと考え、「ペットと人間の生活をより密接なものに」というミッションを掲げました。

その背景にあるのは、世界的に進んでいる“ペットの家族化(ペット・ヒューマナイゼーション)”の流れです。ペットの歴史をひも解けば、元々は番犬や農耕馬など労働力として飼われていたものが愛玩動物になり、それが近年に至って、人間と同じ“家族の一員”という位置付けへと変化してきました。例えば、日本でも昔は犬や猫に残飯を与えるのが一般的でしたが、穀物(炭水化物)は彼らの体にとって消化しにくく、肥満の原因になることが科学的に解明されています。人間社会でも栄養バランスのよい食事やオーガニック食材への意識が高まっていますが、その波が今、ペットフードやケア製品にも広がりつつあるといえるでしょう。

一方、マーケットに目を向ければ、ペット関連市場はその国の経済や所得が向上していくにつれて拡大する傾向にあります。その点で大きな伸びしろがあるのが、東南アジアです。シンガポールに関しても、創業当時はまだ高品質なペットケア製品が手に入りにくい状態で、一部の店舗がWeb販売をしている程度でした。

こうした中で最初に立ち上げたのが、犬のおやつとオモチャを入れたボックスを月替わりで配達するサービス「PerroBox(ペロボックス)」。当時はまだサブスクリプションサービスの需要が限られていたこともあり、方向を転換して、厳選したペット製品を扱うオンラインショップ「perromart」を翌16年に開設しました。その運営に携わる中で思い浮かんだ「もっとこういうものがあればいいな」、「高品質なものをより手頃な価格で提供したい」といったアイデアを活かすべく自社ブランドを立ち上げ、製品開発や展開を強化しているところです。

同社のオリジナルブランド「NAMA」の猫のおやつより「かつお削り節(厚削り)」と、「Pawmade」より、木製スタンドが付いた陶器製のボウル。

 

日本製へのこだわり × 世界のニーズに応えるブランド戦略

自社開発の製品に関しては現在、3つのブランドを展開。いずれもオーガニックやグレインフリー(穀物不使用)など健康志向のペットフードや、素材と機能性、そしてデザイン性を兼ね備えたグッズを扱う点で共通しています。

まず、犬・猫向けアクセサリーブランドの「Pawmade(ポウメイド)」。「ペット生活をおしゃれに快適に」をコンセプトに、食器類や首輪、ベッド、猫砂などを展開しています。次に、プレミアムドッグフードブランドの「HEKA(ヘカ)」。ドイツで製造したグレインフリーのドライフードは、一般的なペットフードのように穀類を使わないことで健康にも良く、犬たちの食いつきもいいのが大きな特長です。

そして、今年から展開を始めたのがプレミアムキャットフードブランドの「NAMA(ナマ)」。日本語に由来するブランド名に、素材や加工法にまつわる透明性や日本製へのこだわりを込めました。例えば猫のおやつシリーズでは、静岡県の焼津で水揚げされたカツオ節やマグロ節、カタクチイワシを使い、食品添加物は一切使っていません。人間が食べてもおいしく、素材や加工地もしっかり明記しています。シンガポールで先行発売をしたところ、「驚くほど食いつきがいい」と好評です。同国では日本食といえば寿司や刺身、健康的でハイクオリティなイメージがありますが、その評価に恥じないブランドにしていきたいと考えています。

同社のオリジナルブランド「NAMA」の猫のおやつシリーズ。焼津産の新鮮な魚を原料に、食品添加物を一切加えず、削り節は厚みを3種類用意するなどのこだわりが光る。

この夏からは日本でも「HEKA」のラインナップと、「NAMA」からはおやつに続いて缶フードや猫砂などを「perromart」で販売開始する予定です。日本のペット関連市場は東南アジアと比べて遙かに成熟しており、既に高品質な製品やサービスがひしめいています。その中で、自分たちのポジションをどう築いていけるか。日本でブランドを確立できれば、その価値は必ず世界にも広げていけるはずだと信じています。また、サービスの面では単なるeコマースを超えて、より総合的なプラットフォームを目指したい。日々、お客様から多くの相談が寄せられる中で、ペットにまつわる悩みにより幅広く応えたいと思うようになりました。シンガポールの動物病院との連携をはじめとして、少しずつ領域を広げていければと考えています。

「NAMA」の削り節の原料となるカツオは、日本一の水揚げ量を誇る焼津港のものを使用している。

 

世界No.1を目標に、ペットと人間のよりよい未来を切り拓く

私自身は、慶應義塾大学理工学部の大学院で基礎理工学を専攻し、システムデザイン工学を学びました。その後、ベンチャーキャピタルのジャフコを経て、グリーへ転職。その時に両社で上司だったのが、KIIの木下秀一執行役員と、山岸広太郎代表です。ただ、起業した当初は拠点が海外であること、事業内容的にも慶應義塾大学の研究シーズの活用には当たらないため、KIIの投資対象には該当しないと思っていました。にもかかわらず、18年12月に投資するという判断をいただいたのは、KIIにとっても異例のことだったはず。私たちの事業の社会的な側面を評価していただいたことが、その後の他社との契約にも大きな勢いをもたらしてくれました。私たちにとってKIIは、最初にコミットしてくれた特別な存在です。このご縁を活かして、いずれは慶應義塾大学の研究成果を活用した機能性食品の開発にも取り組みたいと考えています。

今後のビジョンについては、私たちのミッションである「ペットと人間の生活をより密接なものに」を推進していくこと、これに尽きます。製品やサービスを通してペットによりよい環境を届けるだけでなく、ゆくゆくは人々の意識をも変えていきたい。

具体的には、シンガポールのペット保護施設の運営団体と連携して、保護犬や保護猫と飼い主とのマッチングイベントを開催したり、サイト上でペットフードを施設に寄付できる仕組みを構築したりしています。日本でもペットショップの売れ残りや飼育放棄されたペットが殺処分につながるなど、生体販売にまつわる問題に光が当たり始めていますが、こうした問題は様々な価値観や考え方が絡んでいて、一筋縄ではありません。何が正しいかを考え、一つひとつ行動を打ち出していく姿勢が大切だと思います。

実は日本オフィスの設立地に鎌倉を選んだのも、神奈川県が精力的に犬・猫殺処分ゼロの取り組みを行っていることが理由の一つです。もちろん、人々の意識や社会を変えていくには、小さな努力の積み重ねと長い時間が必要です。例えば、私たちはペットの飼い主に対して「オーナー(所有者)」ではなく「ペアレンツ(親)」という言葉を使うように心がけています。それは、こうした姿勢の積み重ねこそが、ペットを巡る環境の変化につながっていくと信じているからです。世界No.1のペットケアブランドを目指しながら、一つひとつの取り組みを社会的な課題の解決につなげていくこと。それが、私たちの使命であり、願いでもあります。

【公式サイトへのリンク】

ウェブサイトへ

https://jp.25holdings.com/

25Holdings Pte.Ltd. (トゥエンティファイブ・ホールディングス)
2015年8月、藤田英輝とロイ・リムにより、シンガポールで設立。ペット関連オンラインショップ「perromart」を開設するほか、自社ブランド製品として素材や品質にこだわったペットフードやグッズを開発。マレーシアへ進出するなど東南アジアでシェアを拡大し、19年に日本支社を立ち上げ。翌20年より鎌倉を拠点に、日本での展開をスタートした。


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